13日でメジャー2勝——ハエラン・リュがエビアン選手権で見せた「60」の凄み

1ラウンドで11アンダーの60。
この数字を聞いて、すぐにピンとくる方はどれくらいいるでしょうか。
プロの女子ツアーでは、18ホールを60台でまわるだけでも十分な快挙です。
それが「メジャー史上最少スコア」となると、話はまったく別次元になります。
2026年7月、フランス・エビアンで、まさにその記録が生まれました。

何が起きたのか

舞台はLPGAメジャーの一つ、アムンディ・エビアン選手権。
第3ラウンドで韓国のハエラン・リュ選手が9バーディ・1イーグルを積み重ね、LPGAメジャー史上最少スコアとなる11アンダー60をマークしました
それまでの記録は61で、複数の選手が並んで保持していたものだったそうです。

この60により、リュ選手は54ホール終了時点で18アンダー(194)。
こちらもメジャーの54ホール最少スコア記録となり、2位のアキ・イワイ選手(65)に3打差をつける独走態勢に入りました。

そして最終日。
もつれた展開の末、リュ選手とブルック・ヘンダーソン選手が72ホールを19アンダー(265)で終えて並び、プレーオフへ。
舞台となった最終18番(パー5)では、ヘンダーソン選手のティーショットが左に外れてレイアップを強いられたのに対し、リュ選手はフェアウェイをキープして2オンに成功。
約1.2メートルのバーディーパットを沈め、優勝を決めました。

背景・経緯

実はリュ選手にとって、これが今シーズン2つ目のメジャータイトルです。
わずか13日前に制したKPMG女子PGA選手権に続く連勝で、まさに勢いに乗った状態でのエビアン制覇でした。

韓国出身選手が同一シーズンに2つのメジャーを制したのは、2019年のコ・ジンヨン選手以来のこと。
さらにエビアン選手権がメジャーに格上げされた2013年以降でみると、年間ダブルメジャーを達成したのはコ・ジンヨン選手、パク・インビー選手に次いで3人目になるということです。
優勝後のインタビューでリュ選手は「3週間前まではメジャータイトルがなかったのに、今は2つになりました」と喜びを語り、自らを「幸運な女性」と表現していました。

ここがポイント

一度メジャーを獲ると、次の大会では「守りに入ってしまう」選手も少なくありません。
ところがリュ選手は、勝った直後の大会でむしろスコアを伸ばし、しかもメジャー記録という形で結果を残しました。
プレッシャーがかかる場面ほど正確なショットとパッティングが際立つタイプなのでしょう。
プレーオフの最終ホールでフェアウェイをはずさず、冷静にバーディーパットを沈めた集中力にも、その強さがよく表れていたように思います。

読者にとっての意味・楽しみ方

女子ゴルフ界では、しばらく「1メジャー勝者が量産される」時代が続いていました。
そんな中での連続メジャー制覇は、久しぶりに「圧倒的な選手」の物語が生まれた瞬間ともいえそうです。
今後の大会でリュ選手がどこまで勢いを維持できるか、注目してみると観戦がより面白くなるはずです。

また、アマチュアの立場からすると「60」という数字そのものを真似することは難しくても、勝った直後こそ攻めの姿勢を崩さないという考え方は、普段のラウンドにも活かせる視点かもしれません。
次のスコアを恐れず、良い流れのときほど積極的に攻めてみる。
そんな姿勢を意識してみるのも良さそうです。

まとめ

11アンダー60というメジャー記録から、プレーオフでの劇的な優勝まで。
ハエラン・リュ選手のエビアン選手権は、記録と物語の両方が詰まった一戦になりました。
今後の活躍からも目が離せません。

さらに深掘りしたい方へ