タイトリスト「ツアースピード」発表──EXP•01から3年の開発を経て生まれた新作ボールの全貌

ゴルフボールって、正直どれを選べばいいか迷いませんか。
「プロが使っているから」と Pro V1 に手を伸ばしてみたものの、自分のスイングに本当に合っているのかよくわからない。
そんなモヤモヤを抱えたことがある方は多いはずです。

タイトリストがこのほど発表した新しいゴルフボール「Tour Speed(ツアースピード)」は、そんな中級アマチュアゴルファーの声に応える形で生まれました。
しかもその誕生には、知る人ぞ知る実験的プロトタイプ「EXP•01」から続く、3年以上にわたる開発物語があります。

「EXP•01」──ゴルファーと一緒に作った実験から始まった

少し歴史をさかのぼります。
2019年秋、タイトリストはひとつの実験を始めました。
「EXP•01(エクスペリメンタル・ゼロワン)」と名付けた試作ボールを、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドに限定し、約3ヶ月間テスト販売したのです。

市場そのものを研究室にしてしまう──タイトリストにとって異例の取り組みでした。

マサチューセッツ州の自社テスト施設「Manchester Lane Test Facility」では、PGAツアーのR&Dコンサルタントが関わるブラインド比較テストが実施され、実際のゴルファーからの生のフィードバックを丹念に収集。
その声をもとに、コアの配合・カバー素材・ディンプルのパターン・サイドスタンプにいたるまであらゆる部分を見直し、正式製品として仕上げたのが「Tour Speed」というわけです。

製品マネージャーのMichael Fishはこう語っています。
「Tour SpeedはEXP•01から生まれたが、最終製品に至るまであらゆる点で多くの調整が加えられた。
カバー配合からディンプルパターン、サイドスタンプまで、すべてが進化している」

タイトリスト初のTPUカバー──3年以上かけた素材開発

Tour Speed の最大のポイントは、タイトリスト史上初めてTPU(熱可塑性ウレタン)カバーを採用したことです。

TPU と聞いてもピンとこないかもしれません。
Pro V1シリーズが長年使ってきた「キャストウレタン(サーモセット)」とは製造プロセスが異なる素材で、熱をかけて成形できる柔軟性が特徴です。
タイトリストのR&Dチームは数百種類の配合を試験したのち、「Titleist Performance Urethane」と名付けた専用素材にたどり着きました。

この素材の量産体制を整えるため、マサチューセッツ州New Bedfordの自社工場にTPUカバー専用の製造棟を新設するほどの投資をしています。
研究開発シニアディレクターのMike Madsonは「Titleist Performance Urethaneカバーは革新的であり、業界最高レベルだ」と自信を示しています。

内部構造──3つの層が「飛距離×コントロール」を両立

Tour Speed の内部は3ピース構造になっています。

  • コア(径1.550インチ): 高速・高圧縮設計でフルスイング時の飛距離を最大化
  • ケーシング層(マントル): 独自の高弾性アイオノマー素材。
    ドライバーやウッドでの低スピンを担う
  • TPUカバー: グリーン周りのスピンと柔らかい打感を両立

ディンプルは346個で、「四角双錐形(クアドリラテラル・ダイピラミッド)」と呼ばれる独特の形状を採用。
貫通力のある弾道と安定した方向性を生み出します。
コンプレッション(圧縮強度)は約78と、Pro V1(約87)や Pro V1x(約100以上)より低め。
柔らかすぎず硬すぎない「ミッドコンプレッション」のポジションです。

なぜ今これが注目されるのか

このボールが話題になっている背景には、「ツアーボールの性能を手が届く価格帯で」という需要の高まりがあります。
タイトリストはロボットテストで、Callaway Chrome Soft・Bridgestone Tour B RX・TaylorMade Tour Response・Srixon Q-STAR TOURといった競合ボールに対して飛距離で上回ることを主張しており、同価格帯のなかで確固たる優位性を訴えています。

なお、初代モデルは日本での正規販売が確認されていませんでした。
日本のゴルフメディアでも「ユーザーの意見から生まれたボール」として注目度は高く、今後の国内展開が期待されるところです。

まとめ

タイトリスト「Tour Speed」は、実験プロトタイプ「EXP•01」から3年以上の歳月をかけて生まれた意欲作です。
史上初のTPUカバー・3ピース構造・ミッドコンプレッションという組み合わせで、「飛距離も出したいが、グリーン周りのコントロールも諦めたくない」という層にしっかり応えています。
開発の経緯と素材へのこだわりを知ると、1ダースのボールを選ぶ目線が少し変わるかもしれません。

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