大人からゴルフを始めた人ほど伸びる。物理学で読み解く「速く振る」上達法

「今からゴルフを始めても、周りに追いつけないのでは」。
そう感じたことはありませんか。
学生時代から練習してきた人と、社会人になってからクラブを握った人とでは、スタートラインが違って当然です。
ですが、その差は「始めた時期」ではなく「覚え方」で埋められるかもしれません。
大人からゴルフを始めた人が最速でシングルを目指すための上達法として、いま注目されているのが『ゴルフスイング物理学』(実業之日本社・ワッグルゴルフブック)という一冊です。
著者はスポーツトレーナーの小澤康祐氏。
24歳でゴルフと出会い、運動学と物理学の視点からスイングを研究し、2015年からYouTubeで同名のレッスン動画を配信してきた人物です。
「ゆっくり正しく」ではなく「速く振る」から入る
多くのレッスン書は、まず正しい形やスイングプレーンをゆっくりなぞることから教えます。
ですが小澤氏の主張はその逆です。
「速く振る」ことを先に覚えなければ、実際のスイングで使える技術は身につかないというのが核心の考え方です。
ゆっくり振る練習で覚えた動きは、たしかにフォームとしては整って見えます。
ただし、実際にボールを打つ瞬間はクラブヘッドが高速で動いており、そこで働く遠心力などの物理的な力はゆっくり振る練習では再現できません。
ゆっくり振って覚えた「型」を、いざ本番のスピードに乗せた途端に崩れてしまう。
心当たりがある人も多いのではないでしょうか。
速いスイングの中でこそ生まれる力を利用しながらコントロールを覚えるほうが、結果的に近道になるというわけです。
クラブという道具は、重心位置がヘッド寄りにある独特な形状をしています。
この形状は、ある程度のスピードで振ってはじめて本来の機能を発揮する設計になっているそうです。
裏を返せば、速く振ることを避けて丁寧になぞるだけの練習では、道具そのものの性能を活かしきれないまま終わってしまう可能性があります。
「道具→技術→カラダ」という考える順番
本書でもうひとつ特徴的なのが、”道具(クラブ)”→”技術(動作)”→”カラダ”という段階的な思考の順番です。
一般的なレッスンは「まず体の動かし方」から入りがちですが、小澤氏はまずクラブという道具の性質を理解し、その道具を活かす技術を学び、最後に体の使い方を整えるという順序を提案しています。
ゴルフ経験がゼロに近い状態から独自に理論を組み立てた著者だからこそ、既存の指導法にとらわれない発想が生まれたのかもしれません。
大人から始めた人にとってのヒント
社会人になってからゴルフを始めた人は、練習量そのものを増やすことが難しい場合が多いはずです。
だからこそ、闇雲に球数をこなすよりも、「なぜその動きが結果につながるのか」を頭で理解してから体を動かすというアプローチは相性が良いのではないでしょうか。
本書の目次は「理論構築の気づきと発見」から始まり、競技特性と道具の考察、クラブに合わせた手や腕の使い方、体幹・下半身の使い方、さらには悩み解消への応用へと進む構成になっています。
自分がいまつまずいているポイントに合わせて、必要な章から読むという使い方もできそうです。
著者自身、もともとゴルフの指導経験を積んできた立場ではなく、24歳でゴルフと出会ってから独学で理論を組み立てていったスポーツトレーナーです。
既存の指導法の”当たり前”を疑うところから発想が始まっているため、長年ゴルフを続けてきた人よりも、むしろこれから始める大人のほうが素直に取り入れやすい面があるのかもしれません。
まとめ
「大人から始めたから伸びない」のではなく、覚え方の順番を変えるだけで上達のスピードは変わってくるかもしれません。
速く振ることを恐れず、道具の特性を理解するところから見直してみるのも一つの手ではないでしょうか。