全米オープン2026を制したウィンダム・クラークのWITB全公開|機材フリーの哲学とPINGパター秘話

ゴルフでは「使う道具は選手のこだわりが詰まっている」とよく言われます。
でも、優勝した選手のクラブバッグをのぞいてみると、ときに予想外の事実が見えてくることがあります。

2026年6月、ニューヨーク州シネコック・ヒルズで開催された全米オープンを制したウィンダム・クラーク選手のWITB(ホワッツ・イン・ザ・バッグ:クラブセッティング)が、ゴルフ界で大きな話題を呼んでいます。
理由はシンプルで、パターだけを提供するメーカーと試合当週に契約を結び、そのパターでメジャーを制してしまったからです。

最終日6打差から1打差の薄氷劇

ウィンダム・クラーク選手(32歳・アメリカ)は、2023年の初優勝に続いて全米オープン連覇を達成しました。
最終スコアはトータル4アンダー。
サム・バーンズ選手を1打差でかわし、逃げ切り優勝となりました。

最終日は6打差の首位でスタートしながら、波乱の展開が続きました。
観客席から野次が飛ぶなかでのプレーを強いられ、16番ホール(パー5)ではドライブが深いフェスキュー(ラフ)に飛び込む大ピンチも。
そこから約160メートルをフェアウェイへ返し、さらにバーディを奪うという驚きの粘りを見せて勝利をたぐり寄せました。

これで米ツアー通算5勝目、メジャー2勝目となります。
なお今大会の日本人選手では、久常涼選手が43位に入りました。

PING「パターだけ」契約という異例の話

今回の優勝でとくに注目を集めたのが、PINGとのパター使用契約です。
クラーク選手はこれまでどのメーカーとも用具全体の契約を結ばない「機材フリーエージェント」の立場をとってきました。

その彼が大会の週に選んだのが、PINGとの「パターのみ」という異例の単品契約でした。
使用したのは「スコッツデール TEC アリーブルー オンセット CB」という白いヘッドが特徴的なパター。
PINGのCEOジョン・K・ソルハイム氏は「彼は今もっとも勢いのある選手の一人」と太鼓判を押していましたが、まさか契約した当週にメジャー優勝を果たすとは、それ以上の展開でした。

優勝後のインタビューでもクラーク選手は「パターが今日の勝利の鍵だった」と語っており、特定の1本だけを提供するという新しいスポンサー形態がメジャー勝者を生んだ瞬間として語り継がれそうです。

ウィンダム・クラーク2026年WITB全公開

それでは、今大会でクラーク選手が実際に使用した14本の内訳を見てみましょう。

ドライバー
テーラーメイド Qi4D(9.0°)+ Project X Titan Yellow 60 TX シャフト

フェアウェイウッド
3W:テーラーメイド Qi4D Tour(15°)+ Project X HZRDUS Smoke Black RDX 80 TX
7W(21°):Ping G440 Max + Project X Titan Black 80 TX

アイアン
4・5番:タイトリスト T200(寛容性重視のモデル)
6〜9番:タイトリスト T100(操作性重視のモデル)
全番手 True Temper Dynamic Gold X7 シャフト

ウェッジ
タイトリスト ボーケイ SM11(46°・50°・54°)
タイトリスト ボーケイ WedgeWorks(60°)

パター
PING スコッツデール TEC アリーブルー オンセット CB

ボール
タイトリスト Pro V1x

テーラーメイドのドライバーとフェアウェイウッド、PINGのもう一本のフェアウェイウッドとパター、タイトリストのアイアン・ウェッジ・ボールという、3つのメーカーが見事に共存するセッティングです。
アイアンでは4・5番にT200(大慣性モーメントで曲がりにくい設計)、6番以降はT100(ブレード寄りで打ち分けやすい設計)と、長い番手と短い番手で役割を分けている点も印象的です。

機材フリーエージェントという選択が教えてくれること

プロゴルファーの多くはメーカーとスポンサー契約を結び、基本的にそのブランドのクラブを使います。
しかしクラーク選手のように特定メーカーとの全体契約を結ばない「機材フリーエージェント」を選ぶ選手も近年増えてきています。

この選択の最大のメリットは、「その時点で自分に最も合ったクラブを何のしがらみもなく選べること」です。
ドライバーの性能が良ければテーラーメイド、アイアンはタイトリストが手に馴染むならそれでいいという柔軟さが、高いレベルで戦い続けるトッププロを引き寄せています。

アマチュアゴルファーにとっても参考になる発想ではないでしょうか。
「1番のメーカーに統一しなければ」という思い込みを手放して、「ドライバーだけ違うブランドを試してみる」「パターは使ってみたいモデルに変えてみる」という選択を取りやすくなります。
ゴルフ用具選びは「全部揃えなければ」ではなく「自分に合う1本ずつを積み上げる」ものだと、クラーク選手のバッグが示しているようです。

まとめ

機材フリーの哲学を貫き、試合当週に組んだパターでシネコックの難コースを攻略したウィンダム・クラーク選手。
2度目の全米オープン制覇は「道具選びに正解はない」ことを改めて証明した試合でもありました。
次の大会でバッグの中身がどう変わるか、引き続き注目です。

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